1.多光束干渉露光装置の構築:除振定盤(設備備品費)上にHe-Cdレ-ザを光源とする、最大4光束を干渉できる光学系を構築し、装置を完全に覆って空気の揺らぎを低減した箱構造の干渉露光装置を完成した。 2.多光束干渉縞の解析:X線マスクパタ-ン形成のために、2光束および3光束干渉縞パタ-ンを求めた。さらに理論解析の結果、4光束を特定の入射条件で干渉させることで、所望の格子の格子点で干渉光強度を最大にでき、干渉露光のみで所望の3次元フォトニック結晶を形成できる手法を創出した。 3.干渉光の初期位相と干渉縞の空間位置との関係を明らかにし、下記に述べるダイヤモンド構造の形成手法を創出した。 4.初年度導出した理論に、多光束でも干渉光強度が低下しない入射偏光条件を明らかにし、ポジ型フォトレジストAZ1500を記録材料として、He-Cdレーザ(λ=441.6nm)を光源として形成実験を行った結果、理論で予測される周期性を持った格子の形成が走査型電子顕微鏡観察で確認され、本理論の正しさが実証された。 5.全方向にバンドギャップが開くダイヤモンド構造のフォトニック結晶の形成方法として、ダイヤモンド構造が空間的に1/4周期ずれた2つの面心立方格子から成ることに着目し、干渉光間の位相を変えて2度露光する方法を考案した。数値解析の結果、予測通りにダイヤモンド構造が得られることがわかった。 6.周期マスクを用いた3方向からのX線の斜め露光による、いわゆるヤブロノバイト構造の形成のためのX線マスクのパタン形成方法として、3光束干渉により六方晶の約360nm周期の構造の形成に成功した。 7.フォトニック結晶の光学応用に向けて、透過率の計算方法として、結晶を実効屈折率分布に置き換えるモデルを考案した。計算では、層数の増加とともにバンドギャップが生じる結果が得られた。
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