研究概要 |
本年度は、フリッティング現象の解明およびプロセスの最適化をさらに進めるとともに、MEMSプロープカードとしてのNiめっきマイクロプローブアレイの開発および評価を中心に行った。 1.フリッティング現象の解明とプロセスの最適化 フリッティング時の電流・電圧変化を高速サンプリングして測定した結果、フリッティング電圧と回路抵抗との比で決まるフリッティング時最大電流が大きいほど、コンタクト抵抗が減少することが判明した。また、徐々に電圧を上げてフリッティングさせる場合と、設定した電圧を直接印加した場合とで接触抵抗を調べ、上記の理由で後者による方が接触抵抗を低下させられることがわかった。 さらに、プローブ材料によるA1膜へのフリッティングコンタクト特性の違いを調べたところ、従来からコンタクトに用いられてきたNi, W, BeCu, Pdの中では、Niが最も低い抵抗を示し、接触力が10μN程度でも、1Ω以下の低抵抗コンタクトが得られることがわかった。 2.Niめっきマイクロプローブアレイ 下部層と上部層を異なるめっき条件で形成する2段階めっきプロセスを利用して、基板表面より反り返らせる、Niマイクロカンチレバーを提案し、製作プロセスの開発を行った。具体的には、レバーの下部をスルファミン酸浴による低応力層とし、上部をワツト(硫酸ニツケル)浴による高応力層とすることにより、400MPa程度の内部応力差を得ることができた。 また、製作したカンチレバーのばね定数を測定したところ、計算値の70%程度の値が得られ、また、フリッティング特性についても従来の針プローブと同等のコンタクトが得られることがわかり、将来20μmといった狭ピッチパッドのデバイスへの適用可能性を示すことができた。
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