研究課題/領域番号 |
12650057
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
綱脇 惠章 大阪産業大学, 工学部, 教授 (90030056)
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研究分担者 |
大東 延久 関西大学, 工学部, 教授 (20067549)
草場 光博 大阪産業大学, 工学部, 助教授 (70268283)
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キーワード | carbon nanotube / multiwalled nanotube / field emission / field emitter / electron source / free electron laser |
研究概要 |
自由電子レーザー(FEL)の今後の進む道としてはX線〜γ線領域へ向けた短波長化、長波長領域においては大出力化以外に、通常の実験室でも使用可能なものを如何にして達成するかに大別される。これらは、短波長・長波長いずれの場合においても、高電流・低エミッタンス・低エネルギー広がりの電子ビームが得られて可能なことである。金属や半導体の針先からの電界放出電子ビームは、エネルギー広がりエミッタンス共に小さいことが知られており、これをFELの電子ビームとして用いれるなら、ウィグラーへの厳しい要求も緩和され、短波長・長波長のFELに非常,に有用なものとなる。 本研究ではスミスパーセルFELやチェレンコフFELを念頭に置いて、電子ビーム源開発を行っている。昨年までの2年間においては、アーク放電法で作製したナノチューブを用いた電界放出実験、およびXeClエキシマレーザーアブレーション法による生成を試みてきた。今年度は後者についてさらに詳細な実験を行い、単層と思われるカーボンナノチューブの生成が確認でき、その最適生成条件を見出した。紫外領域のレーザーで生成されたのは初めてであると考える。またSi基盤上にCVD法でカーボンナノチューブを剣山状に生成した。そしてそれを陰極として用いる装置を完成した。これにより我々が従来行ってきたentangled tubesでの陰極で問題となった熱的影響が軽減され、損傷閾値は高くなると考える。また以上のように種々の方法で作成されたナノチューブの赤外透過スペクトルを詳細に測定した結果、500cm^<-1>より高波数域では通常のカーボンに比べ約3倍の吸収係数を呈し、400cm^<-1>より低波数ではほぼ同じ値となり、カーボンナノチューブは遠赤外領域の優れたカットオフ特性を有するフィルターとなり得ることを見出した。 今後はレーザーアブレーションにおけるプラズマ生成過程、およびナノチューブ合成過程の照射レーザー波長依存についての物理をより明確にして、最適なFEL用電子ビーム源を実現していくことを目指す。
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