基本流がナヴィエ・ストークス方程式の厳密解で表されるせん断流のうちで、流れのプロフィールが4次関数となる一例として鉛直平行平板間で内部発熱により引き起こされる自然対流の非線形安定性解析を行った(「研究実施計画」の(3)に対応)。熱による不安定性要因を排除し、純流体力学的不安定性だけを考慮するためにプランドル数が零の極限を考えた。この流れのプロフィールは最大2個所で変曲点をもち得ることから横渦構造を有する2次流れが超臨界的に分岐することが期待できる。さらに、圧力勾配を鉛直方向に加えることにより、すなわち平面ポアズイユ流の成分を重ね合わすことにより、2次流れの分岐特性がどのように変化するかを調べた。その結果得られた主な知見は以下のとおりである。 1.平面ポアズイユ流成分の増加に伴い横渦型2次流れの分岐が超臨界分岐から亜臨界分岐へと変化する。 2.2次流れの分岐は調査した全ての場合でホップ分岐であった。すなわち、非線形の横渦型構造は流れと同じ方向にある位相速度をもって伝播する。 3.非線形2次流れに微小擾乱を加え、その安定性を線形解析した結果、次に分岐を起こす3次流れは流れ方向だけでなくスパン方向にも周期的に変化する空間3次元構造を有する流れであり、その分岐の仕方はホップ分岐であった。すなわち、3次流れは時間的に準周期(quasi-periodic)解となることが判った。 以上の研究成果は当研究代表者が連合王国アストン大学のS.C.Generalis博士との共同研究によって得られた。とくに、当研究代表者が2度にわたって訪英することで、問題点が生じたとき両研究者による、いわばon the spot'の解決が可能となり研究が大きく進展できた。
|