研究概要 |
1.前年度までに行ってきた鉛直に置かれたチャンネル内のプラントル数がゼロの極限で近似できる流体の内部熱源によるせん断流非線形不安定性問題を、プラントル数が7.0(水)および0.71(空気)の場合についても解析し、さらにチャンネルを斜めに傾けた配置の場合にも拡張した。非ゼロ値のプラントル数の流体を扱う場合は、純粋の流体不安定性だけでなく温度擾乱による不安定性も考慮に入れなければならず、解析にはナヴィエ・ストークスの方程式以外にエネルギー方程式を加える必要がある。線形解析、横渦型2次元非線形伝播波解の分岐、およびその安定性解析を行った結果、2次不安定性に寄与するのは、空気の場合は準周期モード、水の場合は位相ロック・モードというようにプラントル数の値に大きく依存することがわかった。また、流体が水としてチャンネルの配置を斜めに傾けた場合は、線形安定性解析の結果、鉛直方向からわずか約1度傾けるだけで、鉛直配置の場合に見られた横渦型2次元伝播擾乱によって引き起こされる不安定性とは空間構造のまったく異なる縦渦型2次元定常擾乱による不安定性が卓越するという驚くべき事実を見つけた。この不安定性から生じる縦渦型非線形定常解についての数値解析は、現在、英国アストン大学のGeneralis博士との共同研究として継続して進行中であり、次年度には英国側から日英共同研究プロジェクトとしてEPSRC(Engineering and Physical Science Research Council)に応募の予定である。 2.Generalis博士との共同研究の促進、とくに、問題点の即時解決を可能にするため、平成14年度は研究代表者によるアストン大学訪問を申請どおり2回行った。そのうち平成14年6月から7月にかけての訪問では英国サウスハンプトン大学で開催の第9回ヨーロッパ乱流会議における共著論文発表に先立ち綿密な打ち合わせも行った。 3.これまでの研究成果は平成15年に開催される3つの国際学会、(1)EUROTHERM : Heat transfer in unsteady and transitional flows (2003年3月23-26日,Eindhoven(オランダ)),(2)第14回 International Symposium on Transport Phenomena (2003年7月6-10日,Bali(インドネシア)),(3)第5回 Euromech Fluid Mechanics Conference (2003年8月24-28日,Toulouse(フランス))で発表することが決まっている。
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