研究概要 |
本研究における柔軟体とは、紙やフィルムを意味し、その搬送とは、プリンターや複写機や輪転機におけるローラーによる紙・フィルムの送りを意味する。また、ATMなどのベルトで挟み搬送する紙幣用機器においても、柔軟体である紙幣とベルトによる送りも含む。 本研究は、上記に定義した「紙」の搬送過程における変形挙動の解析を実現することを最終目標として、その第一段階として、「紙」が搬送過程においてローラーやベルトで挟まれた時に生じる弾塑性変形挙動を支配する「構成式」を求めることを目的としている。さらに、「柔軟構造物の搬送時の挙動を解析するための数値解析システム」を開発することを第二の目的とする。 1)弾性定数と内部構造の関係を求めるために、表面に各種のトナーを溶着させた場合の弾性定数を曲げ・引っ張り(曲げ方向に依存するが)と微小圧縮試験機による圧下試験により測定し、紙の弾性定数とトナーによる影響を明確にした。 2)そして、搬送解析の基礎式における紙の面内2軸と厚さ方向を含めた3軸異方性に関する変形特性を試験するため、材料定数の測定方法を検討した。 3)さらに、紙の弾性定数に及ぼす温度・湿度の影響を実験により調べた。 4)紙の降伏挙動を調べるために,微小圧縮試験機を用いて紙を圧下試験し、圧下状態と塑性変形の関係を測定した. 紙の搬送時における変形挙動を解析するための構成式を作製し,それを用いて変形時の応力状態を解析し,実験値と比較することで,作製した構成式の有効性に関して考察した.
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