研究概要 |
(1)降伏点現象の実験観察 種々の結晶粒径(10,27,71μm)を持つ低炭素鋼を用いで,油圧サーボ材料試験機により次の4種類の材料試験を行った.a)種々のひずみ速度の引張り,b)定ひずみ幅(引張り-圧縮)繰返し試験,c)応力制御ラチェット試験,d)ひずみ制御ラチェット試験.これより,横領のひずみ速度依存性は粒径が小さいほど顕著であること,降伏段近傍のラチェットひずみ累積の主な原因は粘塑性変形であることなどが明らかとなった. (2)繰返し塑性構成モデルの導出 降伏点現象は転位の急激な増殖と転位速度の強い応力依存性によるものと考えられるので,これを表現するモデル(塑性ひずみ速度ε^p^^・と偏差応力sの関係)を,可動転位密度ρ_m,等方硬化(降伏曲面半径Yと抗応力D),移動硬化(背応力α)概念を用いて,次式の枠組みで導出した.ε^p^^・=3(s-α)ε^^<-^^・>/2σ^^-,ε^^<-^^・>=bρ_mφ(〈(σ^^--Y)/D〉/M(b:バーガースベクトル,M:Taylor因子)関数ψの具体形,ρ_m,Y,D,αの発展式について種々の検討を行った.その結果,実験で観察された応力-ひずみ応答を良くシミュレートできる構成式の具体形を定めることができた. (3)モデルの有限要素解析コードへの組込み 上記モデルを大変形有限要素解析コードへの組込んだ.これを用いて肩Rを持つ板試験片の引張り-圧縮などの数値シミュレーションを行ったところ巨視的な荷重-変位曲線などは実験結果をよく再現していた.またひずみ局所化についても概ね実験結果の傾向とよく一致していた.
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