本研究では、熱応力下の異方性異種材界面き裂の応力拡大係数の解析を行う、簡便で高精度な数値解析手法を開発することを最終目的としている。そのために、平成12年度においては、下記のような研究を行った。 1 異方性異種材界面き裂の応力拡大係数の解析を行う前に、等方性異種材界面き裂のより簡便な数値解析手法の開発を行った。既存の手法の中で、簡便さと精度の良さから人気のある、Crack Closure Integral法をこれまで適用が不可能であった異種材界面き裂の応力拡大係数の解析が精度良く行えるように改良した。また、この手法が、熱応力下の界面き裂にも適用できることを確認した。 2 開発中の異方性異種材界面き裂の解析には、既知の異方性異種材界面き裂の弾性解析解が必要である。そこで、既存の研究の中から、異方性異種材界面き裂の解析解の収集を行った。 3 異方性異種材界面き裂の応力拡大係数の定義には、複数のものが存在するため、既存に研究の中で使用されている定義を調査した。この結果、見かけ上形式が異なるこれらの応力拡大係数の定義は、本質的な違いは無いことを確認した。 4 異方性異種材界面き裂の解析は、異方性線形弾性有限要素法のプログラムにポストプロセスの形で組み込まれる。このために、異方性線形弾性有限要素法の解析プログラムを作成した。 これらを基に、平成13年度は、異方性異種材界面き裂の応力拡大係数の解析が行えるプログラムの完成を目指す予定である。
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