研究概要 |
21世紀の計算科学技術の一つとして、要素や格子を要せず節点のみで解析を行うメッシュフリー法が注目されている。これは近年有限要素法に代表されるメッシュ(要素)を用いる解析手法の汎用化が進み同時に解析対象の規模や複雑さが飛躍的に増し、結果的に解析そのものよりも解析データ作成に多くの時間を要している現状を反映しているものと考えられる。またき裂進展解析においては、有限要素法では要素内にき裂を配することは困難であるが、メッシュフリー法では節点間に自由にき裂を配置できる点でその有効性が報告されている。しかしながら、90年半ばから始められたメッシュフリー法の研究は、未だ基礎的な研究にとどまり実用的な3次元解析は皆無である。これは、弱形式に基づく解析に不可欠な領域積分に関して、メッシュフリー法では有限要素のような積分単位をとるものがなく、解析対象物とは別の積分セルを設定しなければならないためである。したがって、今後のメッシュフリー法と領域積分の容易な有限要素法とを融合させた新しい解析手法の開発、その上で有限要素法の適用が困難な分野へのメッシュフリー法の適用、が考えられる。以上の観点から本研究では、ケーブル補強膜構造物に対するメッシュフリー解析手法の開発、及び重合メッシュフリー解析手法の開発を目的として、本年度は前者に関する研究を実施した。実施項目は次のとおりである。(1)Patch+Lagrange Multiplier法、影響半径調整法による不連続面のモデリング,(2)ALE法による不連続面の移動のモデリング,(3)ケーブル要素の導入、摩擦滑りモデルの導入によるケーブルのモデリング,(4)ケーブル補強膜構造物のメッシュフリー解析なお、これらの成果は5本の論文として発表された。
|