研究概要 |
微分干渉顕微鏡を用いてコラーゲン線維束の微細構造を観察しながら引張試験を行うことができる生体外負荷試験装置を用いて,マウスより摘出した尾腱やその線維束に生体外で種々の負荷を作用させ,力学的性質と微細構造の変化について検討した.その結果,以下のことが明らかになった. 1.尾腱の最大荷重はその腱を構成する線維束の最大荷重の和より大きくなった.線維束はEpitenonと呼ばれる鞘に包まれているので,外周から内側に向かって力が作用して線維束同士がバインドされる、このため,線維束の中では,線維と線維あるいは線維と線維間物質の間で摩擦などの相互作用が大きくなり,腱の最大荷重の方が大きくなったと考えられる. 2.引張強度の90,75,50%の負荷を繰り返し線維束に作用させると,90%では平均3回,75%では6回,50%では128回で線維束が破断した.負荷試験中の微細構造観察により,線維束が完全に破断する少し前から微細なコラーゲン線維の破断が始まることが明らかになった.
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