研究概要 |
直径数十μm〜サブミリオーダのマイクロ円筒体のセンタレス研削技術を確立することを目的に、調整砥石を用いないセンタレス研削法を提案した.これは,従来法における調整砥石による工作物の支持作用と送込み作用を可動シューと微小送りユニットによって行い,工作物の回転駆動作用をブレードの超音波楕円振動によって行おうとするものである. 本研究補助の初年度(平成12年度)で得られた中間結果としては,超音波振動ブレードと微小送りユニットを設計・製作し,既設のセンタレス研削盤上に付設することによって加工実験機を構築した.構築した実験機でφ1〜φ5mmの工具鋼製丸棒の回転駆動テストを行った結果,超音波振動ブレードによって工作物を回転駆動することができることを確認した.また微小送りユニットによる工作物の送り駆動テストを行った結果,可動シューが0.7μm/s程度の移動速度まで微小駆動可能であることを確認した.そして最終年度(平成13年度)での内容と結果を次のようにまとめる. (1)研削テストを行った結果,接線研削抵抗を受け持つブレードより,法線研削抵抗を受け持つシューに超音波楕円運動表面波を付与するほうは,工作物に対する摩擦抵抗が大きくなるため,工作物の回転制御に有利であることがわかった.そこで,超音波楕円振動シューを設計・製作した. (2)超音波振動シューに超音波域の交流電圧を印可し,印可電圧と周波数がシューの振動振幅に対する影響をレーザドップラ振動計を使って調べ,シューの振動特性の評価を行った. (3)シューの超音波楕円運動による工作物の回転駆動試験を行った.工作物の回転速度は,シューの横振動速度に左右され,印加電圧が大きいほど,周波数が共振点に近いほど大きくなる. (4)直径φ1〜φ5mm程度のブランク材(SK材)の加工テストを行い,いまのところ最小到達径が500μm程度で,真円度は初期の20μmから最高1.5μmに向上することができた.
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