研究概要 |
本研究は,ステンレス鋼板や家庭用品のヘアライン仕上面,あるいは磁気ディスクやハードディスクのテクスチャリング仕上面などを対象として,その欠陥を検出すると共に熟練技術者が専門的で特有な表現で評価している仕上面の特徴を数値化し,オンラインの評価システムの構築を試みることを目的としている.本研究では,まずヘアライン仕上面に着目し,前加工面の研削痕が残っていたり,搬送中に生じた欠陥を検出すると共に,その評価が可能なオンラインの製品検査システムの構築を試みた.本年度は下記の課題について研究を実施した. (1)ヘアライン仕上面の欠陥検出 各種の研削痕を付与した仕上加工面を作成し,熟練技術者に依頼し,直感的な判断により仕上げ状態を評価した.さらに,CCDカメラを使用する撮影システムを構成し,前工程の研削痕が残されている仕上面では,研削痕を表面に存在する傷として検出できることを確認した. (2)評価パラメータの決定と評価方法の検討 ヘアライン仕上面を評価する画像処理方法として同時濃度生起行列を計算し,得られた特徴量の値と仕上面状態との対応関係を調べた.その結果,仕上面の良否を判定するための有効な特徴量が存在することが明らかにでき,それらを組合せることによりヘアライン仕上面の評価が可能であることがわかった. 以上の研究を総合し,熟練技術者の専門的で特有な表現と画像情報との対応,評価システムとして具備すべき要件や処理方法の構築など,実用上の問題点について検討を開始した段階である. なお、本年度の研究で得られた成果の一部は,次頁に示すように学会において発表した.
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