研究概要 |
本研究は微細・複雑形状の医用工具を作成する技術の開発である.通常はエンドミルが用いられるが,製作上,0.1mmないし0.06mmが限界である.そこで丸棒を斜めに切断した単純な工具「はすかい工具」を提案した.形状上,切削性能は低いので適切な条件設定が重要であり,切削条件と具体的な切削技術について検討した. 1.CCD型マイクロスコープ用いた切削観察より,はすかい工具による切削現象を観察し,材料の塑性変形が大きく,切り屑が排除されにくいことを明らかにした. 2.切削抵抗と切削能率について実験的に検討を行い,30°付近が最適なはすかい角である.ことが明らかになった.これはねじれ角的効果と切り屑の排除しやすさによる. 3.粗さについて実験と解析により検討を行った.その結果,はすかい角が小さいほど,また,送り速度の小さいほど面粗さは小さくなる.理論値に比べ実験値は幾分小さくなるがこれは切削に塑性変形が重畳するためである. 4.通常のエンドミル切削に比べ,バリが大きなる欠点を除くための検討を行った.その結果,(1)工具1回転あたりの送り量をある程度大きくすること,(2)適当な切削幅の幅寄せ切削,さらに(3)適切なツールパスの採用が効果的であることが分かった. 5.微小切り込み,送りが可能な三次元形状創成システムを試作した.これを用いて医用工具成形に向け実験的に検討を行った.15〜25μmのはすかい工具に0.2mm程度のミニチュアエンドミルを併用し,微細形状創成を行った,その結果,工具とほぼ同一幅の溝加工が可能であること,さらに1mm程度の鉗子創成が可能なことを確認した.
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