研究概要 |
平成12年度は微小径円筒部品の振れ回り軌跡と真円度の光学式同時測定原理を確立し,測定システムの試作とデータ解析システムの作成を行った. 今年度はまず測定システムの基本性能評価を行った,実変位と測定システムによる換算変位との直線性は0.5μm程度であった.また,センサユニットの実際設置角度は設計角度に対して0.5゜の違いがあったが,この程度の差は真円度測定の拡大係数にほとんど影響を与えないことを確認した. 続いてフィールド実験を行った.直径1mmの旋削加工された円筒部品を市販の工作機械に取付け,主軸回転数300rpmで振れ回り軌跡と真円度を測定した.その結果,真円度プロファイルとその山数成分は市販の真円度測定機による結果とおおよそ一致した.しかしながら,測定に用いる光源が被測定円筒の軸方向に幅広のため,旋削ピッチが平均化されてしまい,真円度の値は市販の測定器による値と比較して小さくなった.一方,同じ光検出器を用いて同時測定している回転振れ回り軌跡にはピッチ平均化の影響は現れず,形状補正を効果的に行うことができた.3山成分の振幅が支配的な被測定円筒を参照円筒とした場合,補正前にはシミュレーション結果に類似した四角形状の軌跡が得られ,半径方向の円岡振れは1.24μmであった.これに真円度プロファイルを用いて形状補正を行うと,四角形の角が取れて振れは0.71μmに減少した.これより,開発システムは参照円筒の形状が補正可能な回転振れ回り軌跡測定システムであることが確認できた.
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