研究概要 |
本研究は,回転振れ回り軌跡と真円度の光学式同時測定システムを開発し,回転振れ回り軌跡から真円度プロファイルによる形状誤差成分を除去することを目的とした. 開発したシステムは,3組の透過光方式センサユニットにより構成される測定ユニット,信号処理ユニットおよびデータ解析処理ユニットから成る.透過光方式センサユニットは,光源と2分割型ディテクタより構成される.光源には光遮断特性のよいSLD(Super Luminescent Diode)を用いた.被測定円筒は光源と2分割型ディテクタとの間に置かれ,透過光量の変動により被測定円筒の面内変位が間接的に検出される.2組のセンサユニットの光軸を互いに直交させ,差動出力のリサジューをとることによって回転振れ回り軌跡を得る.この2組のセンサユニットで挟み角90°の光学式仮想Vブロックを構成し,3組目のセンサユニットの出力を補正して光学式仮想Vブロック方式によ真円度プロファイルを得る. 直径1mmの旋削加工された円筒部品を市販の工作機械に取り付け,主軸回転数300rpmで測定実験を行った.その結果,真円度プロファイルはおおよその断面形状および山数成分は一致していた.一方,同じ光ディテクタを用いて同時に測定している回転振れ回り軌跡の補正は効果的に行うことができた.3山成分の振幅が支配的な被測定円筒を参照円筒とした場合,補正前にはシミュレーション結果に類似した四角形状の軌跡が得られ,半径方向の円周振れは1.24μmであった.これに真円度プロファイルを用いて形状補正を行うと,四角形の角が取れて振れば0.71μmに減少した.これより,開発システムは参照円筒の形状が補正可能な回転振れ回り軌跡測定システムであることが確認できた.
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