研究概要 |
本研究の目的は,研究代表者の開発したCCDマイクロスコープトライボシステムを用いてセラミックス薄膜の摩擦実験を行い,微視的摩耗過程の連続観察に基づき,幅広い荷重・すべり速度における微視的摩耗形態の種類とそれらの機構を総合的に解明することである.平成12年度は,現有のCCDマイクロスコープトライボシステムを用いて,TiN薄膜材料とダイヤモンドピンとの往復繰返し摩擦実験を行った.得られた主な結果は以下の通りである. (1)荷重Wが臨界荷重W_<c2>以上では,一回目の摩擦から被膜の剥離を生じる. (2)荷重Wが臨界荷重W_<c1>以上かつWc2未満では,繰り返し摩擦後に被膜の剥離を生じる. (3)荷重Wが臨界荷重W_<c1>以下では,被膜の剥離は生じず,被膜自身の摩耗が生じる. (4)被膜自身の摩耗には,見掛けの接触圧力と見掛けのせん断応力の作用による大規模な脆性破壊型摩耗(Flake formation)と,真実接触圧力と界面せん断応力の作用による局所的な脆性破壊によるマイルドな摩耗(Powder formation)の2種類が存在する.
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