研究概要 |
スラストすべり軸受の実験装置(空気軸受支持、回転数10〜5,000rpm、回転軸のふれ0.05μm,回転軸端面に取り付けられた直径80mmの回転円盤のふれ±2μm)の回転円盤に平行に透明な固定円盤を対向させ(円盤間の隙間0.5mm)、スラストすべり軸受の油膜を模した流れの実験装置を制作した.この流れに直径2μmの蛍光粒子を、硫酸バリウムの粉末(粒子の平均直径5μm)と共に添加して、固定円盤の上方からスリットを通して紫外線等で照射し、油膜(隙間)断面の観察を行った.観察・記録には高倍率のCCDカメラとテレビ装置およびデータレコーダを用い、固定円盤の法線に対して60゜の方向から撮影を行った.その結果、既に報告したスラストすべり軸受の油膜に生じる2種類の不安定模様について、 (1)高いレイノルズ数領域で現れる不安定(非粘性型の不安定あるいはtype1の不安定と呼ばれる)は隙間厚さ方向全幅に渡って存在すること、 (2)type1の不安定は渦の列であること、また、渦の観察には蛍光粒子を単独で使用するよりも他の添加物と混合して使用したほうが効果的であること (3)比較的低いレイノルズ数領域で現れる不安定(粘性型の不安定あるいはtype2の不安定と呼ばれる)は、回転円盤面に付着し、円盤外側へ向かうスパイラル模様と、固定円盤側に付着し、内側へ向かうスパイラル模様とがあり、隙間断面中央を境に2つに分かれていること.したがって、固定円盤上方から観察した場合、この二つの流れが同時に観測され、交差模様となって現れる場合があること など、その構造を明らかにすると共に、蛍光粒子が油膜(狭い隙間)の流れを観察する手段として使用できることを示し、当初の計画を達成することができた.さらに、ハイドロシール内の作動液体の流れを前提として、隙間が広く(10mm)、かつ両円盤がそれぞれ任意の回転数で回転する場合についても、同様の手法で観測を行った.
|