研究概要 |
昨年度は,有限要素法を用いて最適なシュリンクフィッタの形状と寸法を求めた.解析に際して物性値は,レンズの種類ごとに光学ガラスのカタログデータを用いた.シュリンクフィッタ材料としてはPOMを用いた.さらに,レンズと鏡筒の接合面の形状誤差を考慮できる数値シミュレーション手法を開発した.シュリンクフィッタ法は,締りばめなので接合面の寸法精度は高いことが要求される.その結果として,接合面の形状誤差は少なく,測定で求めた形状誤差を入れて接触圧力分布を計算しても,接触圧力分布に及ぼす影響は大きくはなかった. また,昨年度測定を始めたシュリンクフィッタ用高分子材料のクリープ試験を継続した.4種類の高分子材料について3種類の温度のもとクリープ試験である.500時間経過した後は,クリープ変位が一定となり増加しないことが確認できた. 今年度は,シュリンクフィタの形状誤差の影響を調べるほかに,レンズの簡易組込み方法について検討した.締りばめでは,基本的に高い寸法精度を要求する.したがって,加工コストが増加する.接合面に要求される寸法公差が大きくできれば加工コストが低く抑えられる.そこで,シュリンクフィタの接合面の接触面積が小さくなるように外周部を旋削した.別の方法としては,鏡筒にスリットを入れ,レンズとシュリンクフィッタを挿入した後にバンドで鏡筒を締めた。上記の2つの方法とも,シュリンクフイッタの寸法公差を緩くできることが実験と計算で確認できた.さらに,シュリンクフィッタを旋削するときに,積極的に形状を誤差を導入することで,シュリンクフィッタの寸法公差を緩くできることも数値シミュレーションで確認することができた.
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