研究概要 |
表面複合化の手段として,薄板振動体に直に粘弾性体を貼付する,あるいは表面をめっき処理するという簡易な方式による減衰能の向上を目指して,実験・理論の両面から検討を行った.昨年度に引き続きインパルス加振に対する応答から減衰能を評価するとともに,新しく正弦波加振に対する応答から減衰能を評価するシステムの構築を開始した. 昨年度製作した実験装置により,特性の異なる市販の粘弾性体(両面テープ)を貼付することによる減衰能向上を確認した.別途開発した微分方程式系により,減衰能を振動系のパラメーターの関数として評価することを可能にした.この結果と粘弾性体の静的なせん断特性実験とを対比させることにより,表面複合化による効果でどの程度の減衰能向上が期待できるかを予め知ることが可能になった.本年度から開始した正弦波加振に対する応答から減衰能を評価するシステムの構築も順調に終わり,次年度には定量的な評価結果を明らかにすることができる段階に至っている. これとは異なり薄板振動系に特性の異なるめっき処理を施した場合についても,インパルス加振による減衰能向上を評価した.粘弾性体を貼付した場合ほど顕著な減衰能向上は実現できなかったが,最大で2倍程度の向上は期待できることを明らかにした.めっき膜による減衰能の向上は,均一な組織のめっき膜処理ではなく,内部に微細なセラミックス粒子等を包含した複合めっき膜のほうが効果の大きいことを明らかにした.この結果により,有効なめっき処理の方式を知ることができた. 以上のような研究成果を2回にまとめて,日本機械学会で講演発表した.
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