研究概要 |
平成12年度には次のような研究成果を得た。 (1)機械設備の重要な部品(軸受や歯車装置など)の異常信号を計測し,診断用信号に対して,従来のノイズ除去法の問題点を検討し,微小な異常信号を最も抽出し易い領域(時間領域,周波数領域および時間・周波数領域)における解析を行い,統計的検定法,GAおよびGPなどによる異常信号の最適抽出法を検討した。可変運転条件における設備の点検時に測定した信号から微小な異常信号も検出できる「瞬間パワースペクトル及びウェーブレット解析により可変運転条件における設備の異常信号特徴周波数成分を検出する方法」を提案した. (2)抽出した異常信号に対して,これまでに提案・定義されている可変運転条件の設備診断用の特徴パラメータを調査してまとめ,さらに使用しうる特徴パラメータ(これらの特徴パラメータは基礎特徴パラメータと呼ぶ)を新たに定義し,基礎特徴パラメータの異常識別感度を「識別指標Detection Index」と「識別率Detection Rate」により評価した.可変運転条件における設備の異常を検出するために、時間領域及び周波数領域の無次元特徴パラメータは有次元特徴パラメータより有効であることがわかった。 (3)単一の特徴パラメータの異常診断感度が限られており、診断精度を向上するために、遺伝的プログラミング(GP)と非定常信号処理法との結合による基礎特徴パラメータの再組織化のアルゴリズムについて検討し,診断のために最適な特徴パラメータの自動生成法を提案した。 (4)自動生成した特徴パラメータを診断指標として,ファジィ・ニューラルネットワーク及び可能性理論により異常有無の判定(判定基準)及び異常種類の判別を行う自動診断システムの構築法について検討し,現場データのばらつきによるあいまいな診断情報を処理する手法を考案し、設備異常の程度を可能性を用いて表す方法を確立した。 (5)考案した異常信号の抽出法,特徴パラメータ自動生成法を現場データで評価し,各手法が有効であることを確認した.
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