1〜4Gbitの次世代DRAMで必要となる0.1μm以下の最小線幅に対しては、その分解能を考えると光に代わり電子線かX線を用いた描画装置に移行せざるを得ない。ところが電子線描画装置において光露光装置なみの生産性をあげるためには、10^<-4>Pa(10^<-6>Torr)オーダの高真空中において、数Gの加速度で高速かつ高精度に動作できる位置決め機構を開発することが不可欠となる。転がり案内を用いてこのような高速位置決めを行うと、高真空中であるため部品の摩耗が激しく、短期間で著しい精度劣化を生じてしまうという問題があり、高真空中で長寿命を保証する精密位置決め機構の開発が強く望まれている。 そこで本研究では、高真空チャンバ内でも精度劣化がなく、かつ高速・高精度位置決め機構を実現できる方法として、高真空チャンバ内で使用可能な高真空対応型静圧空気軸受を開発し、それを位置決め機構に適用する方法を提案した。今年度は、静圧空気軸受で支持された非接触回転系を対象として以下のような検討を行った。 1.理論計算結果をもとに、高真空対応型の静圧空気軸受を実際に製作し、その空気軸受を真空ポンプにより排気されるチャンバ内に設置し、提案する軸受の真空度維持性能を実験的に測定した。その結果、製作した高真空対応型静圧空気軸受によってチャンバ内真空度を10^<-4>Paオーダに維持できることが示された。 2.理論的、実験的な比較検討から、本研究で示した計算結果は、実験結果とほぼ良い一致を示すことが明らかになった。よって、本計算法に従って軸受の設計が可能であることが確認された。
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