研究概要 |
1〜4Gbitの次世代DRAMで必要となるO.1μm以下の最小線幅に対しては、その分解能を考えると光に代わり電子線かX線を用いた描画装置に移行せざるを得ない。また次世代30G-DVDにおいても、DVD原盤の製作に電子線描が装置を使用することが検討され始めている。一方、電子線描画装置において光露光装置なみの生産性をあげるためには、10^<-4>Pa(10^<-6>Torr)オーダの高真空中において、数Gの加速度で高速かつ高精度に動作できる位置決め機構を開発することが不可欠となる。したがって高真空中で長寿命と高精度を保証する位置決め機構の開発が強く望まれている。 そこで本研究では、高真空チャンバ内でも精度劣化がなく、かつ高速・高精度位置決め機構を実現できる方法として、高真空チャンバ内で使用可能な高真空対応型静圧空気軸受を開発し、それを位置決め機構に適用する方法を提案した。そして、静圧空気軸受によって支持された非接触回転系を真空チャンバ内に設置した場合,および直動テーブルを想定して、軸が軸方向に移動する機構をチャンバ内に設置した場合について検討し、以下のような結論を得た。 1.回転軸系を真空チャンバ内に設置するシステムでは、3段の粘性シールと真空ポンプを備えた排気システムを用いることで、真空チヤンバ内を10^<-4>[Pa]オーダの真空度に保つことが可能である。 2.軸を軸方向に移動させる機構では、チャンバ内真空度は悪化し、元の真空度に戻るまで数十秒の時間がかかることが実験的に確認された。 3.上記の現象を理論的に検討した結果、軸表面からの蒸発物があること、およびその蒸発速度、蒸発量を仮定する必要があることが明らかになった。 4.今後は、軸が移動した場合においても、チャンバ内真空度をある値以下とするために、物体表面の付着物について詳細な検討を行うことが必要であると考えている。
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