研究概要 |
本年は,環境と品質を考慮した製品設計,部品再使用を目的としたモジュール構成の検討,および,劣化シミュレーションのための劣化モデルの検討の3課題に関して研究を進めた.環境と品質を考慮した製品設計では,品質機能展開手法を適用して,環境特性の抽出方法,設計重点の明確化についての検討を行った.前者についてはサブシステムから環境特性を抽出する方法を,後者については,各品質特性ごとに環境性評価点を算出し,それと重要度を照らし合わせて設計品質を決める手順を示した.部品再使用を目的としたモジュール構成に関しては,設定した複数のモジュール構成案に対して,制約ネットワークを利用して再使用の可否を評価し,これと分解時間を考慮してモジュール化の有効性を評価する方法を検討した.この結果,機能をモジュール化の視点とするのが,分解時間・再使用率の面から適していることが明らかになった.また,劣化シミュレーションに関しては,工作機械を例にとり,最近の高速化にともなって負荷が大きくなっている送り軸のボールねじについて,ナット溝面の疲労損傷から寿命を評価する手法を提案した.疲労損傷の評価には,切削シミュレーションにより計算される切削力と,機構シミュレーションシステムから計算される動力学的負荷から,ボールねじに時々刻々加わるスラスト力を求め,これよりボールからナットに加わる荷重を計算し,さらにナット溝面に生じる最大せん断応力を求め,その結果をマイナー則を用いて累積する方法を示した.
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