研究概要 |
表記の研究課題に関して、予備実験と文献検索を重ねて来たことと、研究費申請が適切に評価されたため、迅速に蒸着装置(クヌーセンセル:助成設備)、超高真空(真空ポンプ再生処理:助成経費)の準備でき、研究目標が順調に達成できた。この結果を下記国際会議において報告した。研究結果の概要と今後の展開方向を以下に報告する。 Agの1-2原子層薄膜をSi基板上に蒸着し、ダイアモンドの球で摺動したとき、摩擦係数が0.003まで下がる現象が観察された。この系は今だかつて超潤滑状態が観察されていない新たな発見であり、学問的にもまた、真空中で働く優れた潤滑面の設計にも重要な情報をもたらすものと期待し、研究を行った。その結果、超低摩擦Ag膜は、熱履歴によって100℃上昇するごとに摩擦係数は1桁程度づつ上昇し、安定な摺動状態を維持した。また窒素、酸素ガスを吸着したとき酸素は、摺動雰囲気中に6L以上存在すると、低摩擦摺動を妨げることを見出した。いずれの結果も表面第1原子層が摩擦係数に大きく寄与することを証明しており、摩擦機構の概念を塗り替える必要性を提案した。次年度以降は、各種気体の効果、Ag膜厚の影響、接触面内のAgの可動性の解析、Si表面Agの安定性の理論計算(共同研究)、摺動痕内のAgの分布、摩擦機構の解析などを行う。 Ag thin film on Si as the lubricant under ultra-high vacuum and the effect of adsorbed gas molecules on friction. by F.Honda,A.Katayama and R.Nakata Leeds/Lyon Symposium on Tribology,2000,Lyon Sept.2-5,France, in press. Extraordinary low friction of Ag film on the Si(111)as the function of substrate temperature and film thickness. by R.Nakata,M.Goto and F.Honda, ibid. in press.
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