本研究は「流体関連振動」の分野で現在最も未解決で、かつ重要な研究課題として位置付けられているところの複数円柱状構造体の流力振動現象の発現機構の解明を行い、あわせて複数円柱状構造体の流力振動を防止するための有効な制御手法の確立を図るものである。本研究は平成12年から13年度の2年間に渡る研究を予定しているが、本年度は、まず種々に配列された複数円柱である2円柱の空力特性を詳細に調べ、あわせて空力振動を発現させる各種空気力の制御を行い、最適と考えられる制御手法の確立を図った。本年度における研究で得られた成果を要約すると以下のようになる。 (1)2円柱を種々に配列して、それぞれに作用する定常並びに非定常空気力及び渦放出周波数を調べた結果、2円柱の配列形態によって空力特性、及び渦形成の形態並びに放出周波数を明らかにすることができた。 (2)2円柱の上流側に円柱の1/10の大きさの制御用平板を設置し、近寄り流れをパッシブ制御することによって、空気力及び渦放出の抑制を行った結果、2円柱の空気力並びに渦放出を完全に制御できることがわかった。 (3)2円柱のある配列で、空気力が急変する現象が発生するが、本手法で確立した制御手法を適用することによって、それを完全に抑制できるできることがわかった。 (4)次年度で実施する予定である2円柱の流力振動現象も、本制御手法を適用することによって、それを抑制できる見通しが立った。
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