研究概要 |
本年度行った研究内容は以下の通りである。 (1)前処理型凝縮計算コードの開発 これまでに開発した均一・不均一核生成を伴った遷音速凝縮流れの計算コードに前処理法を適用して、極めて遅い凝縮流れも計算できるコードに拡張した。一般的な圧縮性流れの計算手法は、CFL数によって計算の安定性が制約される。特に遅い流れでは、対流速度に比べて音速が相対的に支配的になるため、いわゆるStiffな状態になってしまい、解がほとんど進展しない。前処理法では音速を擬似音速に置き換え、低速領域において擬似音速を強制的に対流速度と同じオーダーにする方法である。これを適用することで、これまでは計算が不可能であった凝縮および蒸発を伴った極めて遅い流れの計算が可能になった。たとえば、気相蒸着(CVD)流れ、超臨界流体、エアロゾル輸送などが本計算コードにより計算できるようになる。本研究では、特に凝縮流れの支配方程式に前処理法を適用した場合の流束分離式を新たに導出して、既存の有用な計算スキームヘの適用性を飛躍的に向上させた。本研究成果は、2002年6月の2nd ICCFD会議にて発表する予定である。 (2)非平衡電磁プラズマ流れ計算コードの開発 電磁プラズマ(Magneto-plasma Dynamic)流れにおけるプラズマの非平衡性を解明することは陰極が溶融する問題を解決するために重要である。本研究では、これまでに開発した完全電離を過程した電磁プラズマ流れの計算コードにプラズマの化学平衡ならびに熱非平衡性を考慮することで陰極先端のより正確な電流密度ならびに圧力の評価に成功した。本研究成果は、Trans.Japan Society of Aeronautical and Space Sciences,Vol.44,2002に掲載される予定である。
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