本研究では、解離や電離を伴う高温反応気体、空気のみならず水蒸気を含み相変化する二相気体、磁場を伴ったプラズマなど非理想気体中において観察される非平衡現象の中でも、時間のみならず空間に極めて依存した複雑な局所流れを数値シミュレーションにより解明することを目的に、新たな計算コードならびに関連したモデルを開発した。具体的には、平成12年度においては、これまですでに開発している均一核生成を伴う非平衡凝縮流れの計算コードを、大気環境中における不均一核生成に伴う凝縮にも適用できるように不均一凝縮核生成モデルを新たに構築した。また、蒸気タービン最終段翼端静動翼列干渉流れ解析のための計算コードも開発して数値シミュレーションを実施した。その結果、翼列干渉に伴う非定常流れが非平衡凝縮に強く影響を与えていることが明らかになった。平成13年度においては、低速流れにおける凝縮を計算するために、前処理法を新たに導入して圧縮性流れに基づく既存の計算コードを前処理型凝縮計算コードに改良した。また、非平衡電離プラズマ流れを計算するための計算コードも開発した。平成14年度においては、上記計算コードを応用して、大気環境中における遷音速翼周り流れを数値シミュレーションし、大気環境中における凝縮は、速度、気温、湿度ならびに翼スケールに強く依存していることを計算により示した。また、前処理型凝縮計算コードを用いて、これまでは主に非圧縮性流れの計算コードで計算されていた微小重力環境における凝縮を伴う熱対流を、本計算コードにより計算することに成功した。
|