本研究は、感温液晶を用いた温度場の可視化計測とPIV法による速度場計測を同時に行なうことで、温度・速度3成分の同時計測法の提案と精度評価を行なうこと、ならびにスキャニングライトシート法による3次元空間内の計測法に発展させること、そして乱流熱対流場の組織構造の解明に応用することを目的として行われた。本研究で得られた結果は以下のとおりである。 (1)疑似カラー画像の製作とそれを用いた同時計測精度の評価 感温液晶ステレオ疑似カラー画像の製作方法を新たに提案し、それを用いて温度・速度2成分ならびに3成分の同時計測精度を評価した。本結果によると、速度計測精度を向上させるには適当な大きさのトレーサを適量混入することが有効であるが過剰な粒子混入は速度計測上有利であるが、温度計測の有効面積を減少させるため適当でないことが示された。また、精度向上にはHSIスプライン検定が有効な手段を提供することも明らかにした。ステレオ計測に対しては、温度・速度の計測精度の両者を最適化する撮影角度があることも見出した。 (2)温度・速度3成分の3次元同時計測と熱対流場への応用 3次元空間における温度・速度3成分の同時計測システムを構築した。その装置を用いて、3次元熱対流場での温度・速度3成分の同時計測実験を行なった。実験結果によると、加熱壁に形成されるプルームの組織構造はかなり強い3次元性と非定常性を有していること、ならびに、プルームの上昇速度と温度変動の相関関係は、加熱面からの距離によって変化することなどを明らかにした。さらに、この装置にスキャニングライトシート装置法を適用して、対流場の3次元計測を行なった結果、プルームの組織構造は、加熱壁近傍に形成されるスポーク構造に起因することを示した。
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