今年度の研究としては、4個の2方向ON-OFF電磁弁でアクチュエータを駆動する水圧駆動PWM制御方式の設計と実験装置の設計・製作、およびPWM制御方式の数値シミュレーションによる性能評価が中心となった。 水圧揺動モータの納入が遅れたため、まだ実験に基づく研究成果はほとんど出ていないのが現状である。しかしPWM制御方式におけるコントローラには、従来はハードウェアとしての制御装置が用いられていたのに対し、本研究では、近年、動作の高速化が著しいパソコンでソフトウェア的に処理する方式を採用することとし、これについて数値シミュレーションによりその有用性、性能等について検討した。その結果、性能的に十分であり、PWM用搬送波の周期、振幅をソフトウェアプログラムによって可変であることを利用して柔軟な制御が期待できることが明らかとなった。 実験では電磁弁および電磁弁駆動用リレー回路等の動特性を確認中である。今後、これらの基礎データに基づいて、まず水圧揺動モータ単体の位置・速度のPWM制御における搬送波と制御性能との関連などを実験的に検討した上で、3自由度水圧マニピュレータの制御実験に入いり、位置・速度・力制御の性能、およびPWMに基因する脈動・騒音等について詳細な検討を行う。特に上記のソフトウェアによるPWMコントローラの柔軟性を活かすことで、水圧PWM制御方式によるサーボ性能を徹底的に追求していく予定である。
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