高速・高精度を目的とするサーボ弁を使用した水圧駆動制御方式と、作動水の汚染等に対するロバストを狙いとしたオンオフ電磁弁を使用したパルス駆動制御方式について検討した. 水圧サーボ弁を使用する制御方式の検討から、水の体積弾性係数が大きいことに基因して、位置制御の良好な性能が得やすいこと、逆に力制御には負荷圧力の微分フィードバック等の補償が必要となることを示した.1自由度ロボット関節駆動系の運動制御の検討から、外乱トルクオブザーバを用いた加速度制御形サーボ系は、外乱および慣性負荷などのパラメータ変化に対し強いロバスト性を持つため、水圧システムにおける低潤滑による摩擦の影響を補償する制御にも有効と考える. オンオフ電磁弁を用いたパルス駆動制御法についての検討において、ステップ状位置制御はPIDコントローラのゲインを適切に設定することにより、PWM、差動PWM方式のいずれでも良好な応答を示し、パルス駆動に伴う圧力変動・騒音もあまり問題とならないことを示した。一方、軌道制御においては、ほぼ良好な追従を実現できたが、電磁弁切換えが常時生ずるため圧力変動・騒音が問題となる。差動形PWM方式がPWM方式に比べ、若干変動が小さいことを示した。なおこの圧力変動対策としてシリンダ流入・流出側の弁切換え信号に位相差を与えその効果を検討したが、実験的には顕著な変動抑制効果は認められなかった。PWM搬送波周期を電磁弁切換えに要する時間と同等程度にまで短く設定することで力制御が可能となり、また位置制御の応答が滑らかになることを示した.現段階ではパルス駆動制御の実用は、その使用条件に厳しい制限を受けるが、簡易的応用に供することは可能であると考える. 設計・製作した3自由度水圧マニピュレータの予備実験をしており、作動水の物理的性質が厳しい負荷・動作条件において如何にその性能に関与するか、またそれを考慮した制御手法、PWM駆動における圧力変動の対策について十分検討していく予定である.
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