研究概要 |
(1)計画調書に記載のごとく実験装置を改良した.すなわち,移動磁界を発生するローター部を電磁石式から永久磁石式に替え,磁場の強化と発熱の抑制を図った.さらに,コイル状流路の内径を6mmから8mmに替えて管摩擦の影響を低減すると共に,流路の入口における磁性流体チョッパーを電磁弁とツインタイマーを併用する制御方式に変更して断続的な磁性流体の供給を可能とした. (2)装置改良後に磁場を測定し,ステーター部のコイルが発生する磁界の移動速度と磁場強さの値(それぞれインバーターの周波数とブーストに依存)に依らず,磁場の強さが約0.6T(旧方式の2.3倍)の一定の磁束密度となること,および発熱が無視しうる程度であることを確認した.従来の方式では磁束密度が最大で0.26Tであったこと,および発熱が大きく空冷を要したこと,を考えると装置は予定通り改良できたといえる. (3)磁界の移動速度と磁性流体の供給法(断続する時間間隔ならびに一回あたりの量)を変えて,性能を表す重要な要素である最大吐出圧力を測定し,その圧力が最高553kPa(旧方式の3.2倍)に達することを確認した. (4)同様にパラメータを変えて,もう一つの重要な要素である吐出圧一定条件下での吐出空気流量を測定し,最高2.6l/minであることを確認した.旧方式では吐出空気流量が0.6l/min以下であったことと比較すると,格段の性能向上である. (5)運動量式を基礎式とする性能予測モデルによって吐出空気流量の計算値を求め,実験値と比較した.その結果,磁場の移動速度が0.37m/s以下の場合には両者は良く一致した.なお,その速度が0.37m/s以上の場合には,磁性流体チョッパーの応答機能が十分でなく,吐出空気流量の実験値は計算値の4割以下にとどまった.したがって,磁場の移動速度が大なる場合について,磁性流体チョッパーの更なる改良が必要である. なお,装置の改良が遅れたため実験と解析が遅れたが,研究成果は近く発表する予定である.
|