研究概要 |
本研究においては、研究目的の達成するために、以下の3種類の実験を行った。第一の実験は、ある一定時間すなわち溶質が溶媒に溶解する時間の間、温度およびガス圧力を一定に保持した後、高圧セル内の圧力を一定保ったままセル内温度を所定の温度まで降下させる方法である。この方法は、ハイドレート生成を確認するのが容易である。第二の実験はハイドレート生成後、ある一定時間ハイドレートを分解させた後、ハイドレート再生成を試みる方法である。この実験は、ハイドレート生成の影響がどの程度残っているかを明らかにする目的で行った。また,一度生成したハイドレートが完全に分解したかどうかを確認する手段として,3.0MPa・283Kに戻した時の供給ガス量が冷却開始前に一致した点でハイドレートが完全に分解したと判断した。第三の実験は、第一の実験とは逆に高圧セル内温度を一定に保ったまま、ガス圧力を上昇させる方法である。さらに、分子動力学法によるハイドレート生成初期過程のシミュレーション行い、ミクロな視点からの生成核形成過程がコンピュータシミュレーションにより明かになった。さらに、ハイドレート生成条件の緩和及び生成速度の向上を図るために、キセノンガスをメタンガスに添加し、ハイドレート生成実験を行った。メタンハイドレート生成が有り得ない温度及び圧力条件で、キセノンハイドレート生成をまず試みた。キセノンハイドレート生成時における僭熱放出による高圧セル内の温度上昇、及びバルブ類を閉めることによりガスの出入りを止めた後、高圧セル内の圧力低下により、キセノンハイドレート生成を確認した。またメタンハイドレート生成時間を短縮することを目的とした実験を行なった。その結果、ガス状物質を添加することによって、生成速度を向上させる物質があることがわかった。ただし、どのような物質が生成速度を向上するのかは不明で、さらにそれは生成初期に限られる。段階的にガス供給を実施した実験によれば、生成速度向上のためにはガスの供給はできる限り連続的に行ない、高圧セル内の圧力低下を避けるべきであることが明かにされた。また、ガス供給を細いノズル等で行なうと、その内部でハイドレートの生成が行なわれ、詰まってしまうため生成速度の向上は見込めない。キセノンガスを用いることにより、生成速度の向上も見られた。しかし、生成されたハイドレートに取り込まれた気体の組成を調べる必要がある。生成速度は実験装置の形状に大きく影響されることが考えられる。
|