研究概要 |
感圧塗料を用いた表面圧力計測法は,風洞試験において模型表面の圧力分布を一度に取得することができる画期的な手法として注目され,近年超音速流試験に対して利用されつつあるが,従来の感圧塗料は圧力変化に対する時間応答が遅く,持続時間が短い間欠式超音速風洞試験に用いることができなかった.本年度行った研究では,励起光源としての半導体発光素子の有効性および多孔性薄膜バインダーの特性を調べるために,衝撃波管を用いた実験を行った.さらに,設備備品として購入したデジタルCCDカメラヘッド(浜松ホトニクス社製,C4742-95-12NRJ Camera Head)およびデジタルCCDカメラCCU(同C4742-95-12NRJ CCU)による画像データの取得法ならびに圧力データへの変換等,後処理手法について検討した.今年度得られた主な知見は以下の通りである. 1.半導体発光素子として発光ダイオード(日亜化学工業社製,NSPB500S,波長ピーク470nm)と半導体レーザーダイオード(同NLHV500A,発振波長405nm)の2種類の光源を用いた実験から,両者ともに出力が極めて安定しており(0.2%以下),圧力計測結果に及ぼす励起光の変動の影響はほとんどないことが確められた. 2.薄層クロマトグラフィー用シリカゲル薄膜と浅井ら(航空宇宙技術研究所)によって開発されたアルミニウム陽極酸化皮膜の2種類の多孔性薄膜上にプローブ色素を固定し,時間分解圧力計測で使用するバインダーとしての有効性を調べた.その結果,両者ともに数十μsの時定数を有し,持続時間が短い間欠式風洞試験においても有効なバインダーとして機能することが確認された. 3.デジタルCCDカメラを用いてリン光強度分布を取得し,得られた画像と基準画像との除算演算処理によって圧力データへの変換を行い,定量的議論が可能な程度のSN比の測定結果が得られることを確認した.
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