研究概要 |
感圧塗料を用いた表面圧力計測法は風洞試験において模型表面の圧力分布を一度に取得することができる画期的な手法として注目され,近年その適用範囲の拡大が試みられているが,従来の感圧塗料は圧力変化に対する時間応答が遅く,持続時間が短い間欠式超音速風洞試験に用いることができなかった.本研究は間欠式超音速風洞試験に適用可能な感圧塗料による圧力計測法を提案することを最終的な目的とするものであり,今年度得られた主な知見は以下のとおりである. まず,画像データの取得ならびにその圧力データへの変換手法を確立するため,噴流を平板に衝突させた際に生じる圧力変化の計測を行った.昨年度の研究においてその有効性が確認された発光ダイオードを光源として使用した.この発光ダイオード光源の出力は極めて安定しており(0.2%以下),圧力計測結果に及ぼす励起光の変動の影響はほとんどないことが確められている.感圧塗料には,薄層クロマトグラフィ用シリカゲル薄膜上に感圧色素(H_2TFPP)を塗布したものを用いた.CCDカメラで取得した画像から発光強度比をピクセル毎に求め,圧力変換器で計測した圧力値を基準として校正を行った.使用した発光ダイオードの光量の制約から単一の画像のみでは十分なS/N比のデータが得られなかったが,10枚程度の画像の平均値を用いることで,定量的な議論が可能な計測結果が得られることを確認した. さらに,発光ダイオード光源の発光タイミングを外部信号と同期させることで,非定常高速現象を捕らえることが可能であることを確認した.この場合においても,平均化処理が必要であり,画像データの後処理は今後取り組むべき重要なテーマであることが示された.
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