研究概要 |
感圧塗料を用いた表面圧力計測法は,風洞試験において模型表面の圧力分布を一度に取得することができる画期的な手法として注目され,近年その適用範囲の拡大が試みられているが,従来の酸素透過性ポリマーをバインダとする感圧塗料は圧力変化に対する応答が遅く,持続時間が短い間欠式超音速風洞試験において使用することができなかった.本研究は,感圧塗料自身の応答性の向上と励起光の安定化を図ることにより,間欠式超音速風洞試験に適用可能な感圧塗料による圧力計測法を確立することを目的とするものである.今年度得られた主な成果は以下のとおりである. 平成12および13年度に実施した研究において優れた時間応答性と耐劣化性が確認された感圧塗料を用いて,現有の吹き出し式超音速風洞に取り付けられた2次元ラバルノズルの側壁上の圧力計測を行った.感圧塗料には,多孔性薄膜バインダである薄層クロマトグラフィ用シリカゲルプレートにメソテトラペンタフルオロフェニールポルフィリンを塗布したものを採用した.励起光源には安定性に優れた青色発光ダイオードを用い,感圧塗料から放射されるリン光の強度計測にはデジタルCCDカメラを用いた.その結果,ノズル内に形成される衝撃波による壁面圧力変化を捕らえることに成功し,本計測手法の有効性を示すことができた.さらに,感圧塗料の固定に高い熱伝導率を有する両面テープを用いることで風洞通風中の壁温変化に伴う計測誤差を抑え,通常の両面テープを用いた場合に比べて計測精度を向上させることが可能であることを明らかにした.一方,単一の画像からでは十分な信号対ノイズ比を得ることができず,画像データのノイズ除去処理が今後取り組むべき重要な課題であることが明らかになった.
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