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2002 年度 実績報告書

マイクロバブルの非線形力学とその生体組織に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 12650177
研究機関大阪府立大学

研究代表者

高比良 裕之  大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (80206870)

キーワードマイクロバブル / トロイダル気泡 / レーザトラッピング / 微小毛細管 / 気体拡散 / 表面張力 / 熱移動 / 弾性境界
研究概要

I.レーザトラッピング法を用いたマイクロバブルの力学解析
(1)血管内のせん断流れ場とマイクロバブルとの相互干渉を解析するために,固体境界近傍でマイクロバブルのレーザ捕捉を行うとともに,せん断流れ場中で,マイクロバブルがレーザ捕捉域を逃れる際の軌跡を理論的に解析した.その結果,せん断流れ場中でマイクロバブルの軌跡は,その初期半径に大きく依存すること等が示された.
(2)直径100μm以下の微小毛細管を用いて,数密度を制御してマイクロバブルを発生させる方法を考案するとともに,微小毛細管から噴出されたマイクロバブルがレーザ捕捉される様子をシミュレートした.その結果,マイクロバブルの噴出速度が150μm/s程度であること,また,この噴出速度の下では,マイクロバブルの噴出位置を調整することにより,理論上マイクロバブルをレーザ捕捉可能であることが示された.
(3)レーザ捕捉した単一マイクロバブルならびにレーザ捕捉下で合体する二個のマイクロバブルの挙動を観測し,それらを気泡力学に基づく数値解析結果と比較することにより,マイクロバブルの安定性に及ぼす内部気体の拡散の影響を検討した.その結果,以下の知見を得た.(i)超音波造影剤として利用されているマイクロバブルの表面張力は,水・空気系の表面張力よりも約1/800に低下している.(ii)マイクロバブルの半径に応じて,単一マイクロバブルならびに合体後のマイクロバブルには,収縮するものの他に成長するものが観測された.これは,表面張力の大きさと液体中の溶存気体の飽和度との兼ね合いで,界面での濃度勾配の符号が変化するためである.
II.境界要素法を用いた微小気泡の崩壊挙動の解析
内部気体の熱移動を考慮しつつ,マイクロジェット貫通後のトロイダル気泡の力学を解析する数値計算手法を開発した.本手法を用いて,固体境界ならびに生体を模擬した弾性境界近傍での微小気泡の崩壊挙動を解析し,以下の知見を得た.
(1)弾性壁の特性(特に質量)によっては,気泡が初期位置を保って崩壊する中立崩壊条件が存在する.この条件は,気泡内部の気体の熱移動を厳密に評価した場合と内部気体がポリトロープ変化すると仮定した場合とで大きく異なる.
(2)内部気体が等温変化すると仮定して内部気体の圧力を決定した場合は,微小気泡の崩壊挙動を過大評価し,一方,内部気体が断熱変化すると仮定して内部気体の圧力を決定した場合は,微小気泡の崩壊挙動を過小評価することになる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 安田章宏: "内部気体の熱移動を考慮したトロイダル気泡の力学に関する数値解析"日本機械学会論文集(B編). 68・672. 2178-2185 (2002)

  • [文献書誌] 川口宗一郎: "レーザトラッピングのための毛細管を用いたマイクロバブル発生方法の検討"日本機会学会2002年度年次大会講演論文集. 02-1(III). 139-140 (2002)

  • [文献書誌] Hiroyuki Takahira: "A Study on the Laser Manipulation of Microbubbles Near a Solid Boundary"Proc.of the 5th JSME-KSME Fluids Engineering Conference. CD-ROM(OS10-2)(全6ページ). (2002)

  • [文献書誌] Hiroyuki Takahira: "Effects of Heat Transfer of Internal Gas on the Bubble Collapse Near a Compliant Wall"Proc.of the 5th JSME-KSME Fluids Engineering Conference. CD-ROM(OS11-3)(全6ページ). (2002)

  • [文献書誌] 永田剛史: "マイクロバブルの安定性に及ぼす気体拡散の影響"日本機械学会関西学生会卒業研究発表講演会講演前刷集. (掲載予定). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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