1.三次元渦法による流れ解析とPCクラスタの構築 (1)本研究では、急発進する球まわりの流れを渦法によって数値解析した。まず、渦度方程式から渦度に関する積分方程式を構築し、その離散化として渦法を組み立てた。数値計算に際し、粘性効果はRandom Walk法を用いたが、速度場が渦の伸びによって発散する現象が生じた。この問題は今後の課題である。 (2)三次元流れを渦法で計算する場合、計算時間が大幅に必要となる。そこで、計算時間の節減の観点から並列計算が必要であり、本研究ではPCクラスタを構築し、並列計算の有用性を調べた。急発進する球まわりの流れの計算では、クラスタ数に比例して計算時間が節減できることが分かった。 2.低レイノルズ数流れの理論解析 (1)急回転と急発進する円柱まわりの非定常流れを特異摂動法によって解析した。その結果、回転の空力特性への影響はまず揚力係数に生じるが、抵抗係数に比べ高次オーダである。運動初期の漸近挙動を調べると、これまでの報告と異なり、揚力係数は時間tに関して-1/2オーダの特異性を持っていることが分かった。そこで、この結果を確かめるために、時間軸に関する摂動解析を試みている。 (2)急回転・急発進する円柱と回転円柱が急発進するときでは、時間が十分に経過すると同じ定常解に収束すると予想される。この点に関して特異摂動論から検討した。この結果、時間軸と空間軸との積分の順序が重要であること、時間tの-3/2のオーダで定常流に収束することが明らかになった。
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