研究概要 |
1.渦法による三次元流れ場の計算 三次元流れの渦法による数値解析において,渦度場の伸縮項の取り扱いが重要であることが前年度までの数値解析で明らかになっていた。そこで,本年度はこの伸縮項にPSE (Particle Strength Exchange)法を導入し,噴流を模擬した流れと,急発進する球まわりの流れを数値計算した.この結果,対称テンソル表示の伸縮項にPSE法を適用すると安定性がよいこと,ガウス関数型のカットオフ関数では乱れが大きくなり,高レイノルズ数流れに近い流れが得られることがわかった.球まわりの流れでは,代数関数型のカットオフ関数を用いると,これまでの他の研究者による数値結果と近い結果が得られることが確認できた. 2.低レイノルズ数流れの解析 昨年度までに,急発進と急回転する二次元円柱まわりの低レイノルズ数流れついて,特異摂動法を用いて解析してきた.その結果,急発進・回転に伴う非線形慣性項の影響はまず揚力に現れ,低レイノルズ数流れは時間に対し-1/2乗の特異性を示し,レイノルズ数が1のオーダであれば定数項になることを明らかにした.この結果は,これまでの高レイノルズ数の結果と異なる.本年度は,渦法によって急回転・急発進する円柱まわりの流れを数値解析し,理論結果を確認した.また,楕円柱に関しても数値解析し,理論結果が楕円柱にも適用できることを示した.さらに,初速度と初期回転をもつ円柱の自由落下問題を数値解析し,初期レイノルズ数によって横方向の変位が変化することを確認し,非線形慣性項による揚力が重要であることを明らかにした.極低レイノルズ数流れにおける,一様せん断流れ場における円柱まわりの定常流れを解析し(Saffman効果),せん断流れの影響を明らかにした.また,Jefferyパラドックスについても検討した.
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