研究概要 |
固気2相乱流はさまざまな機械において遭遇する工業上重要な流れであり,最近の環境問題への関心の高まりとともに,その重要性が一層強く認識されるようになっている.本研究は,気体/固体両相の乱れの非等方性効果を再現できる固気2相応力方程式モデルの構築を目的としたものである. 平成13年度は,GLモデルに基づいて提案した固気2相応力方程式モデルの妥当性検証を行った. 最初の検証例はサイクロン内乱流である.過去の研究によって,サイクロンでは乱れの非等方性が重要であり,応力方程式モデルの使用が必須であることが分かっている.本モデルによりこの流れ場を数値計算し,結果を実験データと比較検討した.この結果,サイクロン内の固体相濃度が比較的低いために,固体相乱れの非等方性が全体の流れ場には顕著な影響を持たないことが明らかとなった. 次いで,2例目の検証として,マイクロバブル乱流を取り上げた.この流れは気液2相乱流であるが,バブル直径が小さいため,固気2相乱流と同様に取り扱うことが可能である.本モデルをこの流れ場に適用することによって,マイクロバブル乱流においては,バブル乱れの非等方性が現象を再現するための重要なパラメータとなっており,本モデルが乱流エネルギのピークとその下流方向変化を妥当に予測できることが明らかとなった.ただし,マイクロバブルによる壁面せん断応力の低減効果を完全には再現できておらず,さらなるモデルの改良が必要であることも分かった. 本研究により,固体相における乱れの非等方性を考慮した固気2相応力方程式モデルが構築された.検証計算の結果,本モデルの有効性を確認できたが,今後さらなる検証を通じてモデルの洗練を図って行く必要があるものと考えられる.
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