研究概要 |
本年度の研究においては,大きく次に示されるような事項について研究を行い成果を得ることができた.(1)2次元の絞り流路における高衝撃過程におけるキャビテーション・クラウドの成長過程について,さらに詳しく調べた.その成長過程が剥離剪断層上における微小渦キャビテーションの合体を通して行われることを定量的に明らかにした.(2)高衝撃キャビテーションとして注目される交互渦形キャビテーション,絞り流路におけるクラウドキャビテーション,磁歪振動子における振動キャビテーションを最高秒間100万コマの超高速度ビデオカメラにより観察を行い,崩壊伝播速度などの衝撃伝播過程を調べた.それらは気液混相流における圧力波の伝播として表れ,連鎖反応的に衝撃・崩壊が伝播することが明らかにされた。(3)ベンチュリにおいて生じるトラベリングバブルキャビテーションを発生させ,数値シミュレーションにより,発生箇所の局所圧力を評価し,液体中に生じる抗張力の算定を行った.また,バブルキャビテーション単独での衝撃よりも非定常の付着形キャビテーションが高衝撃を発することを明らかにした.(4)キャビテーション衝撃を比較的簡単に計測可能な衝撃力センサーを開発した.この衝撃力センサーにより非常に強いキャビテーション状態でも比較的容易にキャビテーション過程を計測することができた.(5)キャビテーション衝撃過程が統計的・確率的過程であることに着目し,円柱背後に生じる交互渦放出形のキャビテーションに着目し,その衝撃発生時の様相そして壊食発生頻度などを明らかにした.(6)実際の流れの代表例としてバタフライバルブ状流れを取り上げ,その高衝撃発生過程を調べた.その主要な結果は,衝撃が強まるキャビテーション特有な流れがキャビテーション数に対して存在するということであり,その特性について検討した.
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