国内で実用されているテンタゲートについて振動の実地調査を行った。実験では、流水時と無水時の振動特性を計測した。測定データを分析し、ゲートの流水時と無水時の振動特性を明らかにした。得られた結果を用いて振動数比を算定する理論解析法の検証を行った。 1.流水時の振動計測 ゲートに12台のサーボ型加速度計を取り付け、流水時の振動を計測した。問題となるような振動は確認されなかったが、測定データを慎重に分析し、ゲートの振動数や振動モードを明らかにした。 2.無水時の振動計測 ゲートに水がかからない状態で、ゲートをフォースゲージ付ハンマーで打撃加振し、それに対するゲートの振動加速度応答を12台のサーボ型加速度計で計測した。加速度計を逐次移動させ、ゲート全体で約160点で計測した。測定精度を高めるため、ひとつの測定点に対して3回の打撃加振を行った。FFTアナライザとコンピュータ(モーダル解析ソフト)を用いて測定データの分析を行い、ゲートの固有振動数、減衰比および固有振動モードを明らかにした。 3.理論解析とその検証 実地調査を行ったゲートについて、空中と流水中での振動数の比を理論的に算定した。その理論解析結果と実地調査結果とを比較したところ、両者がよく一致することが確認できた。これによって理論解析の有用性が実機の実験結果に基づいて検証できたといえる。その解析結果を用いてゲートの動的安定判別も行った。 上記の研究成果を1995年に崩壊事故を引き起こしたフォルソンダム・テンタゲートに適用し、事故の本質が複合発散振動にあったことを明らかにした。 さらに、本研究で実機の実験結果に基づいて有用性を検証した理論解析法を用いて、テンタゲートの動的安全設計の基本指針を示した。 研究の成果は国際会議論文集、大学研究論集、国内口頭発表論文として公表している。
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