研究概要 |
1.多点同時測定LDV(MLDV)法とCCDエリアイメージセンサ(CAIS)を併用して2成分流速分布を同時に計測できる方法を新規に提案し、具体的な形で提供している。CAISをラインビニング動作させることにより、CAISはラインセンサとなる。測定線上の粒子位置をCAISで繰り返し撮影し、撮影されたCAIS上の粒子の位置をMLDV法(y方向の速度分布が求まる)で特定することにより、撮影された粒子位置の移動量からz方向の流速分布の時間変動を求めることができた。CCDセンサを冷却することにより、微弱光の検出が可能となり、半導体レーザをMLDV法とCAISの同一の光源として用いることが可能となり、高い自由度と経済性をめざした2方向(y方向とz方向)流速分布の同時計測システムの開発を行った。本システムの有用性は次のようである。(1)流れ場の時空間情報が得られる。(2)非接触測定である(光学的測定である)(3)線測定である。(4)2方向の速度分布の時間変化が得られるので、乱流に関する新たな知見が期待される。(5)取り扱いが容易な新しい流動計測法である。(6)安価でコンパクトな計測システムである。 2.二次元後向きステップ流れの速度分布を,改良した多点同時測定LDV法により,瞬時流速分布の時系列データとして測定し,再付着領域近傍の流動機構,および大規模変動に注目して詳細に考察を行い,以下の結論を得た.(1)再付着領域の瞬時流速分布変動から,このはく離せん断層が再付着する場合には流路底面近傍の流速が逆流から急に強い順流になる特徴的な流速変動を持つことが分かった.(2)時間平均再付着点においては,壁面近傍流速が順流から逆流に転じる際に,二つのパターンがあることが分かった.これらは比較的交互に観測され,底面の流動を特徴付けている.(3)再付着現象にともなうせん断層の高速流体の流れ込みと,はく離せん断層のFlappingとはほぼ同じ周期で観測された.この周期は従来から低周波数領域における大規模変動とよく一致し,大規模スケールの乱れ構造と,はく離せん断層のFlappingとの間に大きな関連性があった。
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