研究概要 |
液化水素等の燃料等を貯蔵するタンクに接続されている配管が破断すると、破断したパイプ内には気体燃料と空気とが対向して流れる対向置換流が発生し、空気がタンク内に流入し、爆鳴気を形成する恐れがある。本研究では、気体燃料貯蔵タンクの接続配管が破断した事故時の空気の流入防止技術の開発に関する基礎研究であり、配管の一部にコイル部、U字管部等を設けることによる対向置換流の抑制効果を明らかすることを目的とする。 今年度は、まず、置換流量の無次元整理方法を確立するため、流体の組み合わせが異なる三種類の対向置換流(He-Air置換流,Ar-Air置換流及びSF_6-Air置換流)の正味置換流量を実験によって求めた。試験体は,内径及び高さが350mmのアクリル製円筒容器の上部に高さ50mm×幅5mm×長さ200mmのガラス製の矩形流路を取り付けたものである。矩形流路の傾斜角は、0゜から90゜まで15゜間隔で変化させた。試験体内の空気をそれぞれHe、Ar、SF_6で完全に置換した後、矩形流路の先端に取り付けた盲蓋を取り外し空気とヘリウムあるいは、ArまたはSF_6との置換流を生じさせた。そして、試験体の質量変化を電子天秤で測定することにより、空気の流入流量と試験体内の混合気体の流出流量との差である正味置換流量を算出した。正味置換流量と各気体の物性,流路の傾斜角との関係を実験的に調べるとともに、次元解析を行い、正味置換流量は、無次元置換流量とグラスホフ数,シュミット数、傾斜角との間の整理式で表すことができた。また、置換流の流動様式をトレーサー法による可視化によって調べるとともに、置換流の流速分布をレーザードップラ流速計によって測定し、正味置換流量と置換流の流動状態との関係について検討を行った。 また、流路の一部にU字管部を取り付けた実験装置を製作し、置換流の抑制効果に関する予備実験を行った。
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