研究課題/領域番号 |
12650198
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
日向 滋 信州大学, 繊維学部, 教授 (80007020)
|
研究分担者 |
桜井 正幸 信州大学, 繊維学部, 助教授 (30021166)
姫野 修廣 信州大学, 繊維学部, 助教授 (20114887)
|
キーワード | 自然対流 / 安定密度成層 / 二重拡散対流 / LNGタンク / 熱伝達 / ロールオーバー現象 / ボイルオフ |
研究概要 |
本研究では、火災による炎にさらされたLNG容器内の対流伝熱機構を明らかにする一連の基礎実験として、密閉矩形容器内にエチールアルコール-水、水-サッカロース水溶液の二層密度成層状態を初期条件とする二種類の自然対流熱伝達実験を行った。一つは下方壁を加熱壁として上方壁を等温条件にした場合の対流発生の条件を調べる目的で行った。その結果、理論解として知られている単層の場合と同じようにレイリー数1708で対流開始が観察された。加熱量の増加によるヌセルト数の増加率は二層の安定密度差が大きいほど押さえられ、分離対流層の崩壊によってやがて単層の場合の自然対流熱伝達と一致することが判った。もう一つは、1つの側壁の下方1/4部分を加熱壁として他をすべて断熱壁とした場合で、上層部を水、下層部をサッカロース水溶液でその質量比1対2で積載し、上部1/4は真空ポンプ脱気し水蒸気層とした。加熱量、水溶液濃度を変えて実験をおこなった。流体の可視化にはシャドウグラフ法が使われた。溶液の温度測定には上下方向移動可能な装置に取り付けた熱電対によって行った。加熱によって、下層のサッカロース水溶液層に循環対流が発生し、下層での蓄熱が始まり、分離対流層を挟んで二つの対流セルが形成される。単層の場合と違って熱抵抗層となる分離対流層のため上層の温度上昇は遅れる。蒸気圧は二重拡散対流の結果輸送された気液界面での溶液の濃度と温度に支配される。温度の上昇は蒸気圧を高くし、濃度の上昇は蒸気圧を降下させる役割を果たす。分離対流層の崩壊は界面での濃度急上昇効果のため一時蒸気圧が下がることが示された。実験終了後、上層部アルコール、下層部を水に取り替えた場合についても行い同様な二重拡散対流の観察結果を得た。
|