平成12年度の成果を総括し、平成13年度は、以下のような実験等を行った。 (1)実機相当の熱交換器での性能試験を行うにあたり、界面活性剤のトムズ効果の温度依存性を確認するために、温度分布、速度分布の計測の容易さを考慮し、矩形流路を試作し、界面活性剤の濃度を一定にして、流速と添加水溶液の温度及び流路壁の温度をパラメータに、トムズ効果の発現と消滅の可能性について検討し、その温度・速度分布の特徴を明確にした。ミシェルの集合と温度による離散をミクロ的に計測する事は容易ではないが、温度分布の変化に対して速度場の影響は大きい。しかし、温度境界層のトムズ効果解消の位置で必ずしもトムズ効果の解消が起こるわけでもない。温度に対して敏感ではあるが、履歴は複雑である。更に詳細な速度分布の計測と実験的解析が必要である。 (2)12年度に開発した乱流促進体は、実際の熱交換器に適用する際、製作コストに問題があるので、家庭用の空調機に使用されている粗面管を用いて、圧力損失の低減割合を測定し有効性を確認した。トムズ効果の発現は従来の結果と同じ傾向を示す。更に、自動車用ラジエーター、オイルクーラーに使用される楕円管の抵抗軽減についても比較のために測定した。 (3)熱交換器の圧力損失は、伝熱管以外のヘッダー部分での発生が大きな割合を占めるので、市販のラジエーターを使用して、トムズ効果の有効性を確認した。その結果、ヘッダーの圧力損失の増加に対する寄与は大きく、低減率を小さくするが、依然として粗面管に対しては有効であった。 (4)最適条件での熱交換器の年度内製作は困難であるため、現在熱交換器の性能評価試験ループを設計し製作する予定である。引き続き、完成後に製作された熱交換器を使用して性能試験を行う。
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