研究概要 |
平成12年度は,既存の模擬射出成形実験装置を用いて,PP,LDPE等の透明な高分子材料を溶融させて,約250℃から300℃の溶融状態温度で,円管および異形流路中を流動させ,流動先端部の熱流動現象の実験的解明を行った.流動場の非定常測定では,気液界面をビデオ撮影により,画像的に非定常・連続的に検出し,メルトフロント領域の境界・移動を検出すると同時に,メルトフロント領域内の非定常流動を明らかにするため,新しく購入する高輝度プロジェクタを用いて,流路断面にカラー色彩分布を定常的・非定常的に作成し,カラーCCDカメラ(光学系で拡大結像)で撮影し,画像処理ボードを介してコンピュータにカラー分離(RGB値)入力し,粒子断面位置変化および流れ方向位置変化を3次元的に検出する事を試みた.更に,壁面近傍域で多層構造的と考えられる溶融ポリマー流の対流熱伝達と配向の影響による方向性熱伝導を含めた溶融高分子ポリマー流のメルトフロント領域における熱伝達メカニズムの現象解明を実験的に試みた. その結果,流動する溶融ポリマー流体による気液界面の移動の相違およびメルトフロント領域における気液界面内の非定常流動現象を,画像解析および壁面近傍域の流動測定から,実験的に明らかにできた.気液界面の形状を全体的および部分的に数値解析し,その局所的曲率を表面張力の影響を含めた非ニュートン流の流動解析と結びつけ,現象の総合的把握を行った.気液界面は,壁面近傍の応力の変動と関係付けられる非定常的な変動を行っており,壁面近傍から中心部への変化伝播が観測された.実験の主要因子である流路形状を変更した円形断面流路および異形断面流路の結果を比較し,流路形状による流動現象の相違を明らかにし,工学的応用についても考察を行った.
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