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2001 年度 実績報告書

逆こう配拡散が発現する乱流拡散火炎の物質輸送特性と燃焼制御

研究課題

研究課題/領域番号 12650202
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

田川 正人  名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80163335)

キーワード燃焼 / 乱流 / 拡散火炎 / 圧力こう配 / 逆こう配拡散 / 輸送現象 / ガス分析 / 未燃炭化水素
研究概要

燃焼器内の流れは一般に乱流であり,操作しやすく,安全性が高いことから拡散火炎が多用される.本研究の目的は,「逆こう配拡散」という特異な乱流輸送形態に着目して,乱流拡散火炎の性質を理解し,最終的には制御する方策を探ることである.逆こう配拡散とは,乱流が,熱や物質といったスカラの輸送を抑制するという直感に反する現象を指す.まず,曲り流路内に乱流拡散火炎を形成して燃焼場に強い圧力こう配を作用させると,熱輸送に逆こう配拡散が発現すること,発現機構の本質が圧力こう配の存在によって高温(低密度)の流体塊の運動が選択的に抑制される現象にあること,を明らかにした.次いで,逆こう配拡散が発現する場におけるレイノルズ応力,乱流熱流束など重要な乱流諸量の挙動を,乱流構造解析で実績のある各種統計的手法を適用して調べ,逆こう配拡散が発現するメカニズムの詳細を明らかにした.以上の成果に基づいて,熱輸送の逆こう配拡散が,燃料の燃焼過程にどのような影響を及ぼすのかに着目して,未燃炭化水素の排出特性を調べた.実験では,燃焼ガスをガスクロマトグラフにより分析し,主要ガス成分の時間平均濃度の空間分布を測定した.その結果,逆こう配拡散の発現領域では,燃料の一部は燃えることなくそこに蓄積され,未燃炭化水素として排出されることが明らかとなった.すなわち,圧力こう配が作用する燃焼場においては,通常の乱流場に見られる熱輸送と物質輸送の高い相似性が崩れていると考えられる.相似性が崩れると,燃料濃度の高い領域が,燃焼の維持に必要な高温領域から遊離して,未燃物質の発生が助長される.以上から,本研究で得られた知見は,燃焼効率の向上,熱損失および未燃物質の排出量の低減といった具体的な問題に対して,合理的で普遍性の高い対処法を見いだすための基礎となることが期待できる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 田川, 松原, 杉田, 太田: "曲り流路内乱流拡散火炎の熱輸送特性"日本機械学会論文集(B編). 67巻. 2856-2863 (2001)

  • [文献書誌] 田川, 松原, 太田: "曲り流路内乱流拡散火炎の熱輸送における特異性"第39回燃焼シンポジウム講演論文集. 39巻. 29-30 (2001)

  • [文献書誌] Tagawa, Matsubara, Ohta: "Heat transfer characteristics of a non-premixed turbulent flame formed in a curved rectangular duct"Combustion and Flame. vol.129(印刷中). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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