研究概要 |
(1)気泡成長の解析コード開発と数値シミュレーション 気泡成長の数値解析法をALE法にもとずいて定式化した.ついで,等温伝熱面の境界条件下の気泡成長に適用し,流動と伝熱の計算結果から熱伝達に対するメニスカス液膜の蒸発寄与が大きいことを定量的に示した.気泡の垂直合体や水平合体を解析するため,差分法による三次元解析コードを新たに開発し,単成分流体の気泡成長にともなう先行気泡との合体および隣接気泡との合体を解析し,気泡の形状変化,温度場,速度場を把握した. (2)二成分流体の強制対流沸騰における濃度の影響 二成分流体として冷媒R-134aとR-123との混合流体について,水平管内の強制対流沸騰におけるフローパターンの観察熱伝達の実験圧力損失の測定を行った.その結果,圧力損失には濃度の影響は基本的に発現しない.また,低クオリティの核沸騰領域の伝熱劣化はプール核沸騰の場合と同様な気液界面の温度上昇による有効温度差の低下,高クオリティの強制対流蒸発領域の伝熱劣化は環状液膜内の濃度の円周方向分布が主因であることを明らかにした. (3)三成分流体のプール沸騰における濃度の影響 三成分流体のプール沸騰曲線を冷媒R-134a, R-142b, R-123の混合液について測定し,熱伝達劣化と相平衡図との関連性を詳細に検討した.その結果,蒸発界面とバルク液のあいだの温度差が低下することを通して濃度差の影響が発現するとの確信を得た.そしてボイリングレンジを支配因子として伝熱劣化の割合を相関し,プール核沸騰熱伝達の整理式を得た.
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