研究概要 |
平成12年度、13年度に引き続き下端閉及び下端解放のそれぞれに対し、外筒のみ加熱し内筒をガラス管とした場合、また外筒、内筒ともに加熱した場合について実験を進めた。尚、これまで、下端開放系実験の場合、下端からの液排出が不十分なことがあり、流路内蓄水が顕著に見られることがあったため、液排出系の改善を行い、蓄水を防止した。 テスト流路外筒内径は40mm、外筒内壁と内筒外壁間の流路間隙は0.3,0.5,1,2,5mmの5種類である。伝熱面を約300℃まで昇温し、定常になった後、飽和温度にあるR-113液を上部プレナムに導きテスト流路へ侵入させる。その後のテスト伝熱面熱電対からの出力をデーターレコーダーで収録する。一方、テスト部ガラス管の内側に挿入したファイバースコープからの流動状況の画像をVTRに記録する。(1)下部密閉系(発生蒸気上方排出)、(2)下端開放形(液下端排出発生蒸気上方排出)、の2種の実験を行ってきている。 今年度得られた主な結果は、 (1)間隙5.0mm、下端閉では大きな液の浸入が見られ、下部にまず液がたまり、この液面上昇により上方へ向かって壁面クエンチング(急冷)が生じていた。下端解放とした場合には、液侵入があるものの壁面は高温に保たれ、クエンチングは上方から下部へ向かって進行していた。間隙2.0mmの場合も、液の浸入はやや少ないものの、同様なクエンチング過程が見られた。一方、間隙1.0mm下部密閉系ではクエンチングは上部から下方へ向かって進行していた。更に間隙の狭い0.5mmでは急冷は見られず、緩慢な冷却が継続した。 (2)熱伝導と壁面熱伝達を組み合わせた急冷過程の数値計算を行った。得られた結論は以下のとおり。 ・実験の測定・データー処理から発生する誤差は有為なものとはならない。 ・壁面温度と熱流束の関係が適切に与えられた場合、急冷過程・急冷伝播速度の実験結果を再現できる。 ・壁面温度と熱流束の関係を間隙巾、また上端からの液侵入量の関係で整理することが次の課題であることが確認でき、現在その作業を進めている。
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