研究概要 |
球形を保ちながら一定速度でシリコン油中を沈降する直径約15mmの水滴の境界面に近接した内外の領域の速度分布を計測した.液滴に近接した領域をPTVで精密に計測するために必要な実験技術上の課題,たとえば,流れの可視化と球形の液滴界面での光の屈折による歪みの補正法やトレーサ粒子の混入による界面のコンタミネーションの問題などに対処できた.また,液滴界面の性状の変化を抗力係数によって表現することによって既存の実験結果と比較できる事を示した. 0.01mm/1pixelの拡大率で撮影し,これをPTVによって液液界面に極めて接近した多数の速度ベクトルを計測し,これを用いて界面内外の速度と法線方向速度勾配を精密に計測できた.本実験のように低いレイノルズ数範囲ではアダマールの理論解が実験値と良く一致すること,界面上では内側と外側の速度が一致しているが,速度勾配にはかなり大きな差が有ることが分かった.さらに,今まで如何なる実験データも存在しなかった「外部の流れが界面に及ぼす剪断力の分布」を計測できた.水滴の前面ではアダマールの理論解と良く一致するが,ある点を境にして急増する特異な剪断応力分布である事が分かった.
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